自殺による死別は、急死とは異なり、遺されたものへの複雑で大きなインパクトがあるため、当院では遺された人への支援を充実する目的にて、平成24年6月より「自死遺族対応チーム」を立ち上げ活動してきた。対応のフローチャートを作成し自死遺族に対して標準的な対応ができるようにしている。令和3年度には、自死遺族15件に対して自死遺族対応チームとして介入している。また同意を得られた家族に対しては2か月後に、フォローアップの手紙を送っており15件送付し7件から返信があった。今後の課題として、支援の連続性を確保すること、地域の相談機関への円滑なつなぎが重要と考えられた。また、急な喪失体験で悲嘆にくれる遺族を支援することは援助者にとって、意義も大きいがストレスも強いため、援助者のケアを充実することも必須となる。救急病院は自死遺族ケアの提供の最初の玄関口のひとつであり、自死遺族ケアの体制整備が必要と考えられる。