自殺予防と危機介入
Online ISSN : 2436-8369
Print ISSN : 1883-6046
原著論文
自殺念慮尺度は自殺のほのめかし・企図宣言の生起を予測するか?
小野 聡士末木 新酒井 昂杜伊藤 次郎
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2024 年 44 巻 1 号 p. 90-97

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抄録

本研究の目的は、自殺念慮尺度および短縮版自殺念慮尺度の予測的妥当性を検証することである。本研究では、インターネット・ゲートキーパー事業内で収集されたデータを活用し、相談開始時点での自殺念慮尺度の得点が相談活動内での相談者(n=968)の自殺のほのめかし・企図宣言の生起を予測するかを検討した。相談活動開始時点の相談者の自殺念慮尺度の得点を独立変数、相談活動内で確認された自殺のほのめかし・企図宣言の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。その結果、潜在的交絡因子(性別、年齢、飲酒状況、精神科通院歴、自殺企図歴、抑うつ・不安感、メール回数)を統制した上でも、自殺念慮尺度の得点がその後の相談活動内での自殺のほのめかし・企図宣言を予測することが示唆された。ROC分析の結果、中程度の予測精度が確認されたことから、自殺念慮尺度および短縮版自殺念慮尺度とも予測的妥当性を有していると考えられた。

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© 2024 一般社団法人日本自殺予防学会
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