2025 年 16 巻 4 号 p. 271-282
本稿の目的は、介護保険制度が改正を重ねることでどのようにその内容を変化させてきたのか、その変遷を明らかにし、現在の介護保険制度の姿を明確にすることである。そして、介護保険制度の導入が、老人福祉、社会福祉政策へどのような影響を与えたのかを示した。本論文の結論の一つは、介護保険制度導入前後では、介護保険制度外で対応されてきた介護予防、家族介護、生活支援のサービスが、制度改正を重ねることで介護保険制度内へ組み込まれてきたことである。あわせて、介護保険制度の対象者も、要介護者から高齢者、家族、地域住民までその範囲が広がったことである。二つは、地域包括支援センター創設から生活支援体制整備事業導入といった介護の基盤整備も介護保険制度内に組み込まれることになり、さらに、重層的支援体制整備事業にまで介護保険料が活用され、社会福祉全体まで支えている状況が明らかとなった。