日本のジェンダーギャップ指数は2025年に146カ国中118位と低迷し、同一労働の男女賃金格差も近年悪化の傾向にある。なぜ日本ではここまで男女賃金格差の改善が進まないのだろうか。
この問いに答えるため、ここではまず、戦後の社会政策学会の議論の中で、男女賃金格差が生じる要因をめぐる氏原正治郎、竹中恵美子、森ます美らの議論を歴史的に振り返り、その中でいかなる要因が現在まで続いているかを考察する。その上で、女性のフルタイムとパートタイムに通底する問題として、育児などケア時間における男女間の時間分配の不平等が、女性の仕事上・賃金上の不利な状況を継続的にもたらしていることを論じる。
最後に、日本とドイツの国際比較を通じて、この状況を変革するためには、法律や企業内の「時間」をめぐる政策、すなわち、仕事時間の中にケア時間を組み込む制度を展開することが、男女賃金格差の改善をもたらしうることを論じる。
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