本稿の問いは、社会政策学会が学術雑誌『社会政策』を現行編集形式で発刊することは持続可能か、である。『社会政策』の現行編集形式とその経緯を概観し、それらを国内学協会の学術雑誌の実態や、学術雑誌の編集発刊の現状に照らすことで、考察した。査読制度導入時の投稿原稿中心というポリシーから逸れる論文掲載状況の原因として、他ならぬ査読制度そのものによって、投稿数の少なさや投稿者の偏りが引き起こされていること、また刊行形態が多様化していることを指摘し、現行での『社会政策』の発刊は持続可能とはいえない、と結論した。査読制度には様々な疑義が呈され、その背景には激しい研究競争がある。問うべきは、知の生産のために研究者同士が協力する仕組みをどのようにつくっていくか、である。学会組織や学術雑誌の運営については、その本質的な目的(学術の発展)と手段(組織や雑誌の発展)を取り違えない立場から、精査する必要がある。