抄録
ERPとは, 企業の基幹業務を統合して, 経営資源を計画し, 管理するための手法, 概念である. ERPがパッケージとして市場に進出したのは, 1990年代である. 部門最適化で構築された基幹業務の統合性や柔軟性を欠いた企業は, 欧米生まれのERPパッケージの導入を試みた. しかし, ERPの本質を理解し, 明確な目的の下でERP導入プロジェクトを遂行した企業は少ないといえる. そのため, 運用段階において, 理想と現実の乖離に苦しむ状況が数多く見うけられる. 本研究では, 運用段階で生じる問題発生要因は, その前段階である導入段階に存在すると仮定して, ERP導入における代替案選定方法を提示する. ISM及びAHP(相対評価法及び内部従属法)に基づいた代替案選定によって, 目的にかなったERP導入プロジェクトの遂行を支援するものと期待される.