抄録
IT開発プロジェクトの進捗を正確に把握する事が,早期に遅れを見つけ対策を立てられる最も重要なことであることは,誰でも異論のないことであろう.しかし,実際のIT開発プロジェクトの現状をみると,マスター・スケジュールやフェーズ・スケジュールをこの観点から作成していないことで,進捗の遅れと問題のポイントが発見できずに,スケジュールの遅延や,さらにはサービスイン日時を変更するまでに至っているケースが多く見受けられる.その最大の原因は,スケジュール・チャートの本来の役割を認識していないため,WBSを単に並べただけのスケジュール・チャートで計画が完壁だと満足しているプロジェクト・マネージャーが多いことである.しかし,このことはプロジェクト・マネージャーのスキル不足だけを言ってもこの問題の解決にはならない.そこで当論文では,当社の社内の品質管理の規定でスケジュール・チャートはガントチャートではなくPERT図にしなければ成らないと何故定めているかと言う点も含めて,新人のプロジェクト・マネージャーでも管理しやすいスケジュールが簡単に作成できる手順と進捗の問題点を見つけやすい管理の方法を提示する.