抄録
筆者等はプロジェクト・マネジメントにおけるリスク・マネジメントの重要性に注視し,数々のITプロジェクトのケーススタディにおける経験的リスクを洗い出し,それらを多角的な視点から考察した.その結果,PMBOKでは触れられていない「知識エリアの各プロセス間で想定されるリスクの因果関係」の分析を行うことで,プロアクティブなリスク・マネジメントを実現可能であることがわかった.更にリスクの対策を実施した結果,「新たに発生しうるリスク(これを派生リスクと命名)」の発見から,より効果的なリスクの監視・コントロールの可能性を見いだした.本稿では新たなリスク・マネジメント手法確立の第一歩として,「リスクの因果関係」と「派生リスク」に着目した,プロアクティブなリスク評価ツール(PRET)を用いた実業務に有効なリスク・マネジメントプロセスを提唱する.