プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
2012年度春季
セッションID: 1306
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1306 大規模プロジェクトを25%以上期間短縮するCCPMへの取り組み提案 : プロジェクト・マネジメントの革新(イノベーション)(一般セッション)
中江 功
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キーワード: CCPM, 期間短縮, SAP, ERP
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抄録
大規模SIプロジェクトの納期遵守は多くの困難を伴う.典型的なSIプロジェクトは83%が納期遅延,内18%は中止となっている.これまでPMBOKといった標準プロセスの体系化やプロジェクト・マネジメントの知識体系が確立され,これらが普及してきていることでプロジェクト・マネジメントのインフラが整備されてきた.しかし納期を守るためのインフラ整備は進んできたが期間を短縮するアプローチはこれまでなかった.我々はCCPM(クリティカル・チエーン・プロジェクト・マネジメント)を大規模SIプロジェクトへ適用することで従来の期間見積手法で設定したスケジュール(4.5ケ月間)から28%の期間短縮(3ケ月間)を実現した.対象の工程はSS-PT,規模は543.5人月である.CCPMとはTOCの考え方に基づき全体最適化の観点から開発されたプロジェクト・マネジメント管理手法である.各タスクに含まれる安全余裕を取り除き,タスクの時間を短くする代わりに,工程の最後に「バッファ」を設け,集約して管理をする.プロジェクトマネージャは個々のタスクの進捗を管理するのではなく,工程の最後に付与したバッファの消費状況によってプロジェクト全体の進捗を把握する.CCPM適用に当たり計画段階と実行段階で工夫をした.計画段階ではマルチタスクを排除し,タスク数を300以下に設定し,リソースの制約,制限を考慮した作業ネットワークを作る.実行段階では,遅れても恥じない,責めないプロジェクト風土を醸成しながら,アグレッシブな残日数を作業者から引出し,優先度に従ったバッファの使用をプロジェクトで決める.素早い問題解決をするためにプロジェクトの組織階層に合わせて毎日開催する会議体を構築する.本論ではSIプロジェクトへCCPMの適用が有効的であることを実証する.他のプロジェクトへの展開の可能性を評価して,SIプロジェクトへのCCPM取り組みを広く提案する.
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© 2012 プロジェクトマネジメント学会
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