抄録
ソフトウェア製品の品質は, ソフトウェア開発に影響を及ほす人的要因の特質に大きく依存し, ソフトウェア設計などの開発の上流工程で作り込まれる. そこで, ソフトウェアの品質と開発生産性の向上を図るためには, 開発のできるだけ早い時期に, ソフトウェア製品の品質を推定すると共に, 推定品質が低い場合には開発に影響を及ぼす人的要因を定量的に管理するなどの組織的な対策を講ずる必要がある. 著者らはこれまでに, 開発の上流工程であるソフトウェア設計過程に着目し, ソフトウェア設計品質と,品質に影響を及ぼす人的要因の関係を定量的に分析するための人的要因の概念, 実験計画法とSN比(signal-to-noiseratio)を適用した品質工学的アプローチを提案した. また, 開発早期の段階で, ソフトウェア設計レビューの属性データから, ソフトウェア製品に潜在する総フォールト数を推定をするための信頼性予測モデルの開発も行った。本論文では, これらの研究成果を踏まえて, 開発早期の製造段階におけるソフトウェア信頼性予測モデルの概念とその評価について議論する.
