抄録
クロスカルチャー環境の下にあるプロジェクトでは,その各組織が同じ事柄を同じ事柄として理解する仕組みが重要である.プロジェクトの責任者(プロジェクト・リーダー)にとって,まず基本となるのは指示・説明のローコンテクスト化である.そのための仕組みとして,各組織カルチャーにとって共通に理解できる知識領域の活用と共通に理解するための各種のプロジェクト・マネジメント・ツール(PMツール)の組織横断的な整備が重要である.こうした施策を通じて,プロジェクトの目的の理解や進捗状況および課題の理解等を,プロジェクト組織全体として共有する.こうした努力の繰り返しにより,高いレベルの暗黙知を共有したプロジェクト組織を作り上げること,すなわちそのプロジェクトに適応したプロジェクト・カルチャーが創造できれば,より質の高いプロジェクト遂行が期待できる.