2005 年 7 巻 6 号 p. 22-27
IT業界ではシステム開発プロジェクトの失敗が多発しており,さまざまな対策がとられているが,ほとんどが計画段階の詳細化や作業内容や作業遂行状況のチェック強化などのトップダウンアプローチである.開発現場からみて,これらの対策だけでは十分な成果が得られておらず,より効果的な対策が必要である.企業活動の活性化として従業員満足度調査によって効果的な対策を見出す例があるが,プロジェクト活動についても同様にメンバーのモチベーションを向上させることでプロジェクトのパフォーマンス向上が図られると考えている.本論文ではプロジェクトで作業するメンバーのモチベーションに着目し,ひとりひとりの作業意欲を向上させるためのプロジェクト活動をアンケート分析によって抽出できると考え,複数のプロジェクトへのアンケートを実施し,その特徴を分析し改善提案した内容を報告する.また,アンケート内容から得られた教訓として「トップダウンアプローチとボトムアップアプローチの両面でプロジェクト改善」することを提案する.