抄録
非金属元素の新奇高密度水素化物超伝導体を目指し、分子性水素化物の高圧力下での導電性と結晶構造について調べた。硫黄を含む2つの分子性水素化物(1,3-ジチアン、チオ尿素)を対象に実験を行った。1,3-ジチアンについては、160 GPa までの加圧で電気抵抗の減少は見られたが、超伝導は観測されなかった。一方、チオ尿素については 180 GPa の超高圧力下で超伝導
(Tc = 40 K)の可能性を示す挙動が観測されたが、超伝導体の構造を決定することはできなかった。チオ尿素の高圧力下粉末X線回折測定で明確な相転移は観測されず、測定した圧力領域(16 GPa 以下)では直方晶系の結晶格子を維持していると考えられる。