抄録
代表的なトポロジカル絶縁体であるBi2Se3単結晶の(111)清浄表面とCuを室温で蒸着した表面の構造を、X線Crystal Truncation Rod(CTR)散乱法を用いて調べた。Cu蒸着の前後でCTR散乱プロファイルに変化は見られず、先行報告されていたCuの蒸着による表面近傍のドーピングが本研究では見られなかった。表面構造を解析した結果、表面終端層はSe原子層であり、低エネルギーイオン散乱実験により報告されていたBiの二重層ではないことが分かった。表面格子緩和は非常に小さく、Bi2Se3表面層において0.04 Å以下であることが分かった。