2018 年 6 巻 1 号 p. 125-128
固体酸化物形燃料電池(SOFC)電極に用いる酸素イオン伝導材料として、現在もっともよく利用されているのがぺロブスカイト型酸化物 La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3−δ(LSCF)である。長期信頼性の確立、さらなるコスト低減を推し進めることで、SOFCの普及拡大が期待されている。SOFCの作動温度条件におけるLSCFの主要な劣化要因は、微量存在する不純物との反応による材料組成変化(高抵抗相の形成等)である。LSCFの合成条件や発電条件が異なる場合において結晶構造の安定性について工業的に重要な知見が得られた。製造時から発電時まで、材料の結晶性を安定させるために合成温度を高くすることが有効であるという指針を得られた。