抄録
リチウムイオン電池(LiB)電極は、その構造が複雑であるが、放射光X線 CT を活用することで合剤内部構造の解析が期待できる。すなわち、放射光の特徴である細く絞られ拡がりにくい光による高空間分解能ならびに単色X線による高コントラスト化の両立による微細空隙部分の可視化である。しかし、一般的な活物質である黒鉛を使用した負極を解析する場合、試料が非常に脆く、高分解能観察用に短冊化する事が難しい。そこで、我々は、シリコーン樹脂で電極空隙部を包埋する事で、合剤部分を強化し、かつ活物質と空隙部分のシリコーン樹脂との線吸収係数の差から空隙解析も容易になるのではないかと考えた。しかしながら、本法では、合剤部分を固定化する以外に画像解析上の利点を見出せなかった。