抄録
近年、クール宅配便の出現により冷凍冷蔵貨物の多品種少量物流のニーズも高まってきた。多品種少量物流の効率化には混載による輸送や保管が欠かせない。そこで本研究は、既存の一般的なリーファーコンテナ(陸上設置保管庫用途)を用いて、庫内に間仕切りを設けて、併せて外気をわずかに取り入れることにより、一つのリーファーコンテナ内に異なる温度空間を創出することが可能であるかを、実験により検証する。さらに、当該実験より得られたリーファーコンテナ内の時系列温度データに基づいて、冷凍機の設定温度と外気温の二つのみを入力データとした、リーファーコンテナ内各部の温度推定式を構築する。そして、その推定式に基づき、冷凍貨物と冷蔵貨物をリーファーコンテナ内に混載し、両貨物の品質を維持できる保冷温度を実現する検証実験を行う。本研究の実験と温度推定式によって、特に、リーファーコンテナの奥側空間を冷凍空間に、リーファーコンテナの手前側空間を冷蔵空間にできることで、既存の保冷インフラによっても冷凍貨物と冷蔵貨物の混載を実現できる可能性を示すものである。