理学療法の科学と研究
Online ISSN : 2758-3864
Print ISSN : 1884-9032
講座
運動による身体活動向上と認知症予防
牧迫 飛雄馬
著者情報
キーワード: 認知機能, 身体活動, 運動
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 9 巻 1 号 p. 9_3-9_6

詳細
抄録

 アルツハイマー病の代表的な危険因子として,生活習慣に関わる要因が報告されており,なかでも身体活動の不足がアルツハイマー病の発症に強く関連することが示されている。近年では運動介入による認知機能の改善および低下抑制の効果が検証されている。身体活動の促進が認知機能の向上をもたらすメカニズムとしては,多種多様な要素が生物学的,行動学的,社会心理学的レベルで複雑に影響しあって得られるものであると考えられる。とくに,軽度認知障害を有する高齢者では,運動による介入のみならず,同時に脳賦活を促進する課題を促すことが功を奏するであろう。しかし,運動介入によって認知症を予防できる,もしくは発症を明らかに遅延できるとした明確な根拠は不十分であり,とくに適切な運動強度や運動種目,運動期間などについてはさらに根拠を積み重ねていく必要があり,これらを明らかにすることに理学療法の視点から認知症予防を展開していく鍵が秘められているであろう。

著者関連情報
© © 2018 一般社団法人 千葉県理学療法士会
次の記事
feedback
Top