理学療法の科学と研究
Online ISSN : 2758-3864
Print ISSN : 1884-9032
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総説
  • 深田 亮
    2026 年17 巻1 号 p. 17_1-17_8
    発行日: 2026/03/20
    公開日: 2026/03/20
    ジャーナル オープンアクセス

    臨床研究は研究室内の技術ではなく,患者の変化と観察から生じるClinical questionを問いとして言語化し,検証可能な仮説へ整え,再び臨床へ返す循環である。本稿は,症例報告を珍しさの記録に留めず,症例内比較から仮説を立ち上げ,ケースシリーズで成り立つ範囲と例外を描き,観察研究で交絡因子を含む現場でも差や関連が見えるかを確かめ,決めきれない局面で介入研究へ接続する道筋を整理する。加えて,臨床ではバイタルサイン,筋力,関節可動域,感覚,痛み,歩行形態,装具や環境条件などの要因が介入の可否を左右するため,実装条件の記述を重視する。その際,観察項目を増やし過ぎず,臨床で回せる最小限の変数で共通言語化することが,再現性と継続性を担保する鍵となる。さらに最小測定・最小標準化,役割分担と協働文化で欠測と停止を抑え,得られた知見を次の臨床判断に還元する重要性を提案する。

研究論文
  • 渡部 歩美, 桃井 康雅, 酒井 健介, 根本 昌幸, 久保田 雅史
    2026 年17 巻1 号 p. 17_9-17_14
    発行日: 2026/03/20
    公開日: 2026/03/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究の目的は,Total Knee Arthroplasty(TKA)における下肢アライメントの経時的変化や特徴を明らかにすることである。【方法】対象はTKAを施行した148膝とした。単純エックス線画像を用いて膝アライメントを評価した。術後3年間の下肢アライメントの経過を解析するとともに,術後に内反が増大した症例の特徴を分析した。【結果】FTAは術前から術後2週で平均6.5°,%MAは術前から術後2週で平均22.3%変化した。術後2週のFTAと%MAは3年後と有意差を認めなかった。FTAと%MAはともに,術前と術後2週,術前と術後3年で有意な正の相関を認めた。術後2週から3年の期間で内反が増大した群と変化しなかった群を比較したが有意差を認めた項目はなかった。【結論】TKA後の下肢アライメントは術後3年まで安定していた。術後3年間に内反が増大した症例の特徴は明らかにできなかった。

短報
  • -後ろ向き観察研究-
    小川 侑男, 伊勢 昇平, 奥村 太朗, 廣田 知佐恵, 桑原 康太, 白井 智裕
    2026 年17 巻1 号 p. 17_15-17_19
    発行日: 2026/03/20
    公開日: 2026/03/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】拘縮を伴う腱板断裂における鏡視下腱板修復術(ARCR)後1年の成績に関与する術前因子を検討しカットオフ値を算出すること。【方法】対象は当院でARCRを施行し術前拘縮を認めた21肩とした。術後1年の日本整形外科学会肩関節治療成績判定基準(JOAスコア)83点以上の良好群と83点未満の不良群の2群に分類し,患者基本特性,疼痛,肩関節可動域(ROM),JOAスコアを術前と術後1年で比較した。JOAスコアを従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行い,カットオフ値を算出した。【結果】良好群14肩,不良群7肩であり,術前屈曲ROMのみ2群間で有意差を認めた。二項ロジスティック回帰分析は術前屈曲ROM(p=0.029,信頼区間=0.800-0.983,オッズ比=0.887)が選択され,カットオフ値は105°であった。【結論】術前屈曲ROMが105°以下の症例は後療法の工夫が必要である。

症例報告
  • 桑田 麻由子, 深田 亮, 村田 淳
    2026 年17 巻1 号 p. 17_21-17_27
    発行日: 2026/03/20
    公開日: 2026/03/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】術前の多面的な疼痛評価をもとに患者教育と疼痛回避動作練習,運動療法のペーシングが術後早期のActivities of Daily Living:以下ADL拡大および歩行機能改善の一助となった1症例について報告する。【症例】第2腰椎椎体骨折と腰椎固定術後隣接椎間障害と診断された70代女性である。過去に複数回の除圧固定術の手術を施行されていた。今回は前方と後方固定術を2期的に施行された。【方法】従来の理学療法評価,および介入に加え,質問用紙を用いた多面的な疼痛評価と患者教育,術後の疼痛回避動作練習,運動療法のペーシングを図った。【結果】術後早期にADL拡大および活動量の増大が可能であり,歩行速度および連続歩行距離に改善を認めた。【結論】混合性疼痛を呈する症例における周術期理学療法は,通常の介入に加え,疼痛に留意した工夫が必要な可能性がある。

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