抄録
ソフトウェアの機能規模は工数の見積もりや生産性の評価など様々な場面で有用な情報である.要求仕様に対応する論理モデルに基づいたIFPUG 法やCOSMIC 法などが機能規模を測定する方法として広く用いられている.一方でこれらの機能規模測定手法は詳細な要求仕様やマニュアルに従った測定ができる人材の確保などの制約がある.特に開発初期において制約を軽減するために過去の実績データから機能規模を概算する手法が提案されている.近年、深層学習を用いてユースケースからCOSMIC 法による機能規模を概算する手法(DEEPCOSMIC-UC)が提案された.しかしながら性能評価では従来型の機械学習との比較評価が不十分であり深層学習を用いる優位性が明らかでない.本研究では、DEEPCOSMIC-UC と従来型の機械学習による機能規模の概算精度を比較評価する.先行研究で公開されたユースケースとCOSMIC 法で計測された機能規模のデータセットを対象としてランダムフォレスト及びサポートベクター回帰とDEEP-COSMIC-UC の間で性能を比較した.実証的な評価実験によりDEEP-COSMIC-UC に予測精度上の優位性がないことを示した.