抄録
我々は、食品用高分子オレオゲルのゲル化機構を詳細に理解することを目的に、エチルセルロースと高純度の油脂や脂肪酸からなる溶液を対象に、小角X線散乱を用いて溶液中におけるエチルセルロース(EC)の構造解析を行った。まずは、油脂や脂肪酸との比較に汎用的な有機溶媒であるクロロホルムやエタノールを用い、クロロホルム中では EC がランダムコイル状に近く、良好な相溶性を示す可能性を見出した。一方、エタノールやオレイン酸(脂肪酸)中では、EC が会合して半屈曲性高分子状になり、それらがフラクタル凝集をしていることが示唆された。さらに、高いゲル化能を示すオレイン酸メチル(脂肪酸メチルエステル)やトリオレイン(油脂)中では、1 mg/ml の低い濃度においても 140 nm 程度の大きな凝集体を形成していることが示唆された。これらの EC の会合体や凝集体の形成は、EC と溶媒との相互作用の低下で促進されていると考えられる。