抄録
リチウムイオン電池には、過充電および過放電を防止する保護回路が必要である。24 V系の電源では、リチウムイオン電池を7セル直列に接続して、各セルの電圧を監視し、正常な電圧範囲を逸脱した場合、回路を遮断する保護装置が必要である。電気自動車や大型蓄電システムでは高効率のための300 V以上の高電圧化となり、100セル近い直列数となる。上位側のコンピューターとの通信も必要となり、高機能な制御を含めたBMS(Battery Management System)が求められている。そこで、我々も保護ICを用いて、最大120セルの直列数まで可能で、上限電圧や下限電圧の閾値を任意に変更できる研究開発で利用しやすい特殊なBMSを開発してきた。本論文では、このBMSとリン酸鉄系リチウムイオン電池を組み合わせて9 kWh(153 V-60 Ah)の電池モジュールを試作し、電気自動車に搭載した結果について述べる。