科学・技術研究
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最新号
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巻頭言
特集
連載
  • 立花 和宏
    2019 年 8 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の東北地方の日本側に米沢市がある。そこに米沢高等工業学校本館が重要文化財として保護されている。文字は記録や伝達に便利な道具ではあるが、文字に真実の知恵はない。知恵の継承に文字の助けを借りることがあっても、文字に縛られたり、騙されたりしてはいけない。文化財としてそのモノ自体を残すことは、紙に文字で表現し得なかった先人たちの知恵に思いを馳せる機会を残すということだ。過去にしがみつくのはたやすいが、未来を作るのはなかなか骨が折れる。捨てる勇気もいるし、孤独にめげない強さもいる。百余年のあいだそこにあり続けた重要文化財・旧米沢高等工業学校本館から文字に表現し得ない無言の教えを感じ取り、未来という壮麗な建物を築く足場にしてもらいたい。
総論
  • 甲斐 徳久
    2019 年 8 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    今日に至るまでの足掛け40年間、一貫して海洋生態系における「水銀」および「セレン」を対象として、環境・生物分析化学的ならびに微量元素栄養学的視点からのプロジェクト研究を行ってきた。当初の研究では、主要海洋生態系の両元素をそれぞれ定量し、それぞれのモル基準で換算したモル比(Se/Hg)が自然蓄積される水銀濃度の増大とともに著しく減少し、ほぼ1に漸近することを認めた。環境分析化学的研究では、海水、懸濁物、沈降粒子および底泥中の「セレン」を状態分析することにより、当該海域における物質の鉛直循環および海洋環境を予察した。生物分析化学・微量元素栄養学的研究では、養殖魚で「水銀」蓄積が抑制されるとともに、「セレン」含有酵母飼料を投与することにより、明瞭な肝機能促進が認められた。加えて、魚類非可食部の「水銀」の安全性とともにセレンの効能を利用した健康食品の開発の基盤が期待された。
主張
  • 地域産学連携16年を振り返って
    碓氷 泰市
    2019 年 8 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    静岡県は、豊富な農水産資源を有していて地域に根ざした全国有数の食品・バイオ産業が集積している。そこで、静岡大学のバイオサイエンス関連教員が中心となり地域基幹産業発展に資する目的で「静岡大学食品・生物産業創出拠点」を平成15年(2003年)に設置し今日に至っている。この間、時勢に合う年間テーマを設定し食品・バイオ産業を牽引する研究者の講演会や会員相互の成果発表会はもとより、産学のシーズとニーズとを相互に発表し合うビジネスマッチンを実施してきた。学生には一連の講演などを大学院特別講義として開講すると共に、発表の機会を与えキャリア支援の場としても活用している。このような定期的な催しをとおして、大学内の支援を得ながら地域ネットワークの推進はもとより人的交流を活発にすることで、産官学の分野横断的な協力体制が生まれている。
原著
  • Hiroshi Nishida, Mitsumasa Kimata, Tateaki Ogata, Takahiro Kawai
    2019 年 8 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    Elimination behavior of hydrogen sulfide (H2S) molecules adsorbed on Cu(II)-supported hydroxyapatite (Cu-HAp) using warmed ultrapure water was investigated, and H2S adsorption ability of Cu-HAp before and after exposure to initial H2S gas and the subsequent water treatment was compared. Cu-HAp quickly and markedly adsorbed H2S and its color changed from light blue to dark brown, suggesting that sulfuric component was chemically adsorbed on the surface of Cu-HAp and that it was present as a Cu(II) salt. After the water treatment of Cu-HAp at 333 K after exposure to H2S, the solid phase kept its original crystalline structure and no sulfuric component was detected. The color of the sample gradually changed and turned back to the almost original one after immersion in water for 4 weeks. In addition, Cu-HAp treated in water recovered H2S adsorption ability up to 76 % compared to the original Cu-HAp. Solid residue obtained by evaporation of the treated solution was mainly composed of hydrated calcium sulfate, while any Cu(II) salt was not detected. It suggests that sulfides adsorbed on Cu-HAp was oxidized and eluted into water, and that Cu(II) remained on the surface of the adsorbent. Consequently, Cu-HAp is expected to be a reusable adsorbent against gaseous H2S.
  • 富樫 亮太, 小野寺 良二, 宍戸 道明
    2019 年 8 巻 2 号 p. 113-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、少子高齢化に伴う介護支援の労働力不足が社会的問題として認識されている。そのような社会的背景の中で、脳波で外部機器を非接触制御する技術(Brain-Computer Interface: BCI)は盛んに研究されている。しかし、BCIが社会に還元され日常生活のサポートに応用される速度は鈍い現状にある。その要因として、高コストや複雑な制御動作を要することに起因するシステムの不安定性等がある。これらのことから、本研究では、シリアル動作に特化するというシステムの単純化を図るBCIを構築し、その動作信頼性(課題成功率・誤動作率)を評価してきた。その結果、技術的課題として、モータの制御手法が不適切であることや、簡易脳波計の評価精度が低いこと等 が挙げられた。本稿では、モータの制御手法を変更した方式を提案し、従来手法と提案手法間における①課題成功率の向上効果、②誤動作率の低減効果 について評価した。実験では、各被験者(n = 10)に対して、両手法によるモータ制御実験を5回ずつ実施した。その結果、評価項目①では全被験者において課題成功率の向上を確認した。また、評価項目②においても同様に、全被験者において誤動作率の低減を確認した。その後、両項目について10名のデータからそれぞれ平均を算出し、有意水準1 % で対応のあるt検定を実施した。その結果、課題成功率が13.3 % 有意に増加、誤動作率が8.8 % 有意に低下した(p < .01)。このことから、従来手法よりも提案手法の方がより随意性・安全性に優れることが示唆された。
  • 2段分布定数回路による解析関数の導出
    仁科 辰夫, 伊藤 智博, 立花 和宏
    2019 年 8 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    リチウムイオン二次電池(LiSB)は電気自動車用電源として最有力であるが、その寿命評価やバッテリーマネージメントシステム(BMS)では、電池残容量や容量劣化の程度を知るために、電池の過電圧成分の分析が行われる。この目的でLiSBのACインピーダンス特性(EIS)の測定と解析が広く一般的に行われているが、実測されたインピーダンスの周波数特性を定位相要素(CPE)等を用いて合わせこむことに終始し、妥当な電池モデルに基づく理論的解析を行っているものは皆無である。我々は電流遮断時における過電圧過渡応答を解析するためのモデルとして2段分布定数回路を提案し、その基礎方程式の導出、ならびに解析関数FDTMLの導出に成功した。また、これを実電池の過渡応答解析に適用し、正極側と負極側の2つの時定数系のみで1 mV以内の精度でフィッティングできることを明らかにした。そこで、この2段分布定数回路をモデルとしたACインピーダンス応答の解析解の導出を行い、実電池のインピーダンス応答の基本的特性について検討した。
短報
  • 辻 久巳, 中山 享
    2019 年 8 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    希土類元素の中からイオン半径の最も小さいスカンジウム(Sc)、イオン半径の最も大きいランタン(La)、中間付近のイオン半径のガドリニウム(Gd)を選び、それら希土類元素がコマツナの種子の発芽と播種後3日間の生長へ及ぼす影響を調べた。Sc、Gd、La源として、それぞれScCl3・6H2O、GdCl3・6H2O、LaCl3・7H2Oを用い、異なる濃度のSc、Gd、Laを含有した試験用水と対照区(イオン交換水)でのコマツナの発芽度合および生長度合を比較した結果、希土類元素の添加による発芽への明らかな有意性は観察されず、希土類元素の種類および試験用水の濃度による発芽度合の違いも認められなかった。一方、希土類元素の添加による生長への促進効果は、Scで認められた。
  • Tomoya Mukai, Yuki Nozawa, Ryu Miyagawa, Takeshi Ohta, Keiichi Nakagaw ...
    2019 年 8 巻 2 号 p. 129-132
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    Since the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant disaster in 2011, public health issues in neighboring regions have attracted significant attention. One ongoing debate involves whether the prevalence of diabetes has increased in areas with radioactive contamination or not, as previous studies have revealed inconsistent results. Thus, given that the indirect effects of radiation on public health have been extensively discussed, it is important to evaluate the health statuses of individuals who work in regions with relatively high radiation doses and who are thought to have lived without a major change in lifestyle. The present study aimed to evaluate whether glycated hemoglobin values increased between 2010 and 2016 among a sample of factory (Kikuchi Seisakusho) employees from Iitate village, who continued to work in the factory after the disaster. The results indicated that the post-disaster values for glycated hemoglobin did not significantly exceed those from 2010. This finding may be useful for conducting further studies to examine the effects of radioactive contamination exposure on the risk of developing diabetes.
  • Shin-ichi Shibata, Dai Katsuki, Toshihiko Shimauchi , Haruhiko Kimura
    2019 年 8 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    Capillary images can be effective indicators since correlations have been established between the status of capillaries and certain diseases such as cancer and diabetes. Traditionally, capillaries observations have been conducted through visual observations by medical experts. Purpose of this study is to develop a noise reduction method to extract clearer capillary images for a quantitative evaluation method. Experiments were conducted with four subjects. The proposed method utilizing OpenCV platform produced clearer capillary images compared to the original images. The results have shown the effectiveness of the proposed noise reduction method.
  • VR散歩の有用性
    松本 和也, 河内 茉帆, 森繁 優衣, 品川 葵, 沼田 美里, 杉原 迅紀, 吉村 耕一
    2019 年 8 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、バーチャルリアリティ(VR)映像を用いて、周りに人が居る状況や屋外を散歩する状況を擬似的に体験することにより、ストレス緩和や気分状態改善が得られるか否かについて実験的に検証した。具体的には、被験者に暗算計算作業によるストレス負荷を課した後で、VR映像の視聴による介入を行い、緊張やリラックスの評価のための脳波測定と質問紙による気分状態評価を行った。その結果、周りに人が居る状況と独りの状況の比較実験では、VR視聴の介入中に脳波の緊張値の低下がみられた。気分状態評価による気分障害の程度には差を認めなかった。屋外の散歩と室内の比較実験では、VRによる散歩映像の介入終了後に、脳波の緊張値の低下とリラックス値の増加が認められた。また、室内のVRでみられた気分障害が散歩のVRではみられなかった。これらの結果から、VR映像の視聴(例えば、VR散歩)は、入院患者や自宅療養者の手軽なストレス緩和法として期待できる。
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