抄録
近年、烏龍茶は一般的な飲料の一つとなったが、烏龍茶製造工程において品質の悪い烏龍茶葉が未利用資源として多く存在している。これら低品質の烏龍茶葉を亜臨界水により抽出することで、香気成分などをはじめとした多くの成分を抽出することができ、高品質化に期待ができる。そこで、烏龍茶葉の熱水抽出サンプルと亜臨界水抽出サンプルとの官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では亜臨界水抽出サンプルのほうが、熱水抽出サンプルよりも優れており、3 MPa、130 ℃での抽出が最も良好であった。熱水抽出サンプルより凍結乾燥物重量は多く、タンパク質、総アミノ酸、グルコース、ガラクトース、マンノース含有量も多かった。また、烏龍茶に重要な香気成分であるリナロール、ゲラニオールおよびヘキサナールの量は顕著に上昇し、さらに脳波測定によりリラックス効果も確認された。これらの結果から、亜臨界水抽出は低品質の烏龍茶の高品質化に適していることが分かった。