抄録
視覚障害者にとってウェブサイトは情報の収集媒体になっているにもかかわらず、どのようなサイト構造であれば容易に情報を入手することができるかは明らかでない。本稿ではスクリーンリーダーを使用する視覚障害者を対象として、ウェブページ内に表示されるコンテンツの情報量とサイトの階層構造について検討した。情報の検索時間と検索作業による心的負担を評価した結果、トップページのリンクテキストが少なく、第2階層のコンテンツ(ウェブサイトで提供される情報)の多いサイト構造の場合が、検索時間が最も短く心的負担も小さかった。また、視覚障害者は検索に長時間を要するが、階層構造の違いに対する心的負担の傾向は晴眼者のそれと似ていた。このことは、ユーザビリティの高いウェブサイトを構築すれば、晴眼者と視覚障害者の双方にとって効率的かつ心的負担が小さい情報検索ができる可能性のあることが示唆された。