仙台白百合女子大学紀要
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<研究ノート>女子大生の食品の旬に関する意識調査 : 野菜類の場合
高澤 まき子猪股 恵美子保井 明子
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2001 年 5 巻 p. 137-148

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抄録

野菜25種を選定し、女子大生を対象として句についての意識調査を行った結果、次の通りであった。1)野菜の句の意識調査について、春野菜では「菜の花」、「キャベツ」、夏野菜では「トマト」、「きゅうり」、「ピーマン」、「枝豆」、「なす」、秋野菜では「松茸]、「さつまいも」、「里芋」、冬野菜では「白菜」の正答率が高かった。2)出盛り期のはっきりしている野菜のほとんどが、句の正答率は低く、句がわからない傾向にあり、料理の出現数も低かった。3)提示した野菜の料理内容は、春野菜では「浸し物」、「煮物」、夏野菜では「サラダ]、秋野菜では「煮物」、「焼き物」、冬野菜では「鍋物」が多く出現した。「大根」の句は夏と冬であるが、料理内容は「おでん」、「煮物」、「ふろふき大根」があげられており、冬の意識が強かった。4)仙台市卸売市場の取扱量を調査した結果、「うど」、「ふき」、「菜の花」、「笥」、「グリーンアスパラ」、「いんげん]、「そら豆」、「枝豆」、「オクラ」、「里芋」、「せり」が出盛り期がはっきりしており、その他の野菜は周年化していると思われた。5)季節に関わりなく摂取されている野菜の出現率の高いものは、「キャベツ」、「きゅうり」、「トマト」、「ピーマン」であり、日常時生食として手軽に摂取できるものであった。11年間を句として3ヶ月毎に4区分したが、野菜によっては栽培技術や流通により早期化、周年化しているものがあり、区分したなかで句を捉えることは難しい状況になってきている。出盛り期の明確な野菜のほとんどが句の意識は低く、また周年野菜が増加している今日、食物の分野で教育指導していく私たちが、句の食材を出来るだけ献立に組み入れ、季節感の豊かな食生活を伝えていかなければならないと思う。今日、野菜類のなかには無農薬をうたい文句として、水耕栽培のほうれん草やサラダ菜などが市販されている。これらの野菜は気候条件にとらわれず、常に一定条件の下で栽培されたものである。しかし、そのようにして栽培された野菜は、ひ弱でミネラルを充分に含まない)という。私たちはそれらを日々摂取し続けることによって健全な身体を造り上げることが出来るのであろうか。やはり、しっかりと土に根ざし自然条件の下で育ち、充分に栄養を蓄えた作物を摂取することが大切であり、健康維持、増進の源ではないかと考える。野菜の句を今一度見直し、栄養価の高い、健康な野菜が供給されることを期待したい。本調査を行うにあたり、ご協力いただいた宮城学院女子大学相原美智子先生、本学調理系の諸先生方、アンケートにご協力いただいた宮城学院女子大学1年生並びに本学短期大学1、2年生、女子大学1、2年生に感謝いたします。本論文の概要は、平成12年度日本家政学会東北・北海道支部第45回大会(於東北女子短期大学)において発表した。

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2001 学校法人白百合学園 仙台白百合女子大学
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