2025 年 23 巻 p. 89-109
本稿では都市の聚落社会を記述する。聚落社会の探求は地域社会学の最重要の問題関心のはずである。鈴木栄太郎の聚落社会には都市と村落があるが、この事は概念上の区別であって、現実の都市の中には生活協力と共同防衛という聚落社会の内実をもった村落が生きている事がある。また、村落では果たせない生活共同や共同防衛の機能は、聚落社会としての都市(の専門機関)が担っている。神戸市の野寄(西岡本)は中世の郷村にまでたどれる古い村が生きている地域である。つまり、聚落社会としての都市と村落は一つの地域社会の中で、相互を支えあっている。ここにあるのは、現代都市の聚落社会の一つのありようである。しかし、ここだけの事例ではなさそうであり、一定の広がりがあるように思われる。今後の探求が待たれる課題である。