2007 年 6 巻 p. 17-24
電磁流体力学(MHD)推進技術は次世代の推進システムとして期待されており,NASAマーシャルスペースフライトセンターではMAPXと呼ばれるMHD加速実験が計画されている.この計画ではダイアゴナル型のMHD加速機の使用が予定されている.チャネル上下に配置された電極を適切に接続することによって,流れの非対称性やジュール加熱を緩和することができ,これはホール電流中和状態と呼ばれる.本論文では,このホール電流中和状態を理論的に評価し,さらに理想的な電極接続状態と実機との違いの影響を見積もった.結果として,両者に多少の違いは生じるが加速機出口における流速に大きな違いはないことを示し,実機においても理想的に評価されたホール電流中和状態をほぼ達成できることを示した.