宇宙技術
Online ISSN : 1347-3832
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6 巻
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  • 海老沼 拓史, 千蔵 真也, 中須賀 真一
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 1-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/31
    ジャーナル フリー
    An experimental Global Positioning System (GPS) receiver based on a Commercial Off-the-Shelf (COTS) hardware and open source signal processing software modified for space applications is planed to be integrated into the PRISM Earth observation nano-satellite. This paper describes the preliminary orbit determination experiments considered to be performed as part of the PRISM missions to study the operation and performance of the COTS-based GPS receiver on a very small and low-power satellite flying in a low Earth orbit.
  • 横山 隆明, 樋口 健
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 9-16
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/14
    ジャーナル フリー
    安全着実な月面着陸のためには,着陸時に着陸脚が月の砂地盤から受ける反力を事前に算定し,着陸脚設計に生かす必要がある.本研究では,地球上での実験から月面着陸時の衝撃力を算定する実験的方法について検討した.また,SPH法を利用した解析的方法についても検討し,実験結果とよい一致を示した.
  • 坂本 信臣, 近藤 淳一, 原田 信弘
    原稿種別: 論文
    専門分野: 原動機・推進
    2007 年6 巻 p. 17-24
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/19
    ジャーナル フリー
    電磁流体力学(MHD)推進技術は次世代の推進システムとして期待されており,NASAマーシャルスペースフライトセンターではMAPXと呼ばれるMHD加速実験が計画されている.この計画ではダイアゴナル型のMHD加速機の使用が予定されている.チャネル上下に配置された電極を適切に接続することによって,流れの非対称性やジュール加熱を緩和することができ,これはホール電流中和状態と呼ばれる.本論文では,このホール電流中和状態を理論的に評価し,さらに理想的な電極接続状態と実機との違いの影響を見積もった.結果として,両者に多少の違いは生じるが加速機出口における流速に大きな違いはないことを示し,実機においても理想的に評価されたホール電流中和状態をほぼ達成できることを示した.
  • 浦山 文隆, 渡辺 吉男, 矢野 敬一, 馬場 尚子
    原稿種別: 技術ノート
    専門分野: 材料
    2007 年6 巻 p. 25-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/24
    ジャーナル フリー
    太陽観測衛星「ひので」可視光望遠鏡には分子状コンタミネーション付着にセンシティブな光学系が搭載されている.これら付着は,望遠鏡内部に使用されている有機材料からのアウトガスにより生じる.「ひので」は日本時間2006年9月23日に打ち上げられ,同年10月25日から可視光望遠鏡による太陽観測が開始された.観測開始から約2カ月の間,光学系の一つである排熱鏡近傍の温度が急上昇した.この原因として,コンタミネーションが排熱鏡に付着し,排熱鏡の太陽光吸収率が増加した可能性が高いことが判った.また,フライト前に実施した数値解析結果と比較したところ,主鏡及び副鏡での太陽光吸収率変化Δαs計算値は温度データからのΔαs概算値に傾向が概ね一致した.しかしながら,排熱鏡でのΔαs計算値は温度データからのΔαs概算値を下回った.数値解析においては,材料表面からのコンタミネーションの脱着効果,汚染源となる材料の急激な温度上昇を考慮する必要があることが判った.
  • 前田 裕昭, 川口 佳久, 安田 明生
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 31-35
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    準天頂衛星測位システム(以下QZSSと呼ぶ)では,地上軌跡が東経135度を中心とし8の字を描く軌道(以下QZOと呼ぶ)に衛星(以下準天頂衛星,あるいは,QZSと呼ぶ)を軌道上に打ち上げて,日本を中心とした東アジアやオセアニアに測位サービスを提供する. しかし,軌道は,地球質点重力以外に,Zonal項やNon Zonal項等の非球対称地球重力項の影響や,太陽や月の重力,太陽輻射圧の影響を受ける. そのため,それぞれの影響の大きさがどの程度であって,どれだけの期間でそれらを補正する必要があるか,またその補正に必要な速度増分量がどれくらいかの把握は,QZSS及びQZSの研究開発において主要な課題の一つであった. この研究課題については,既に幾つかの検討がなされているが,いずれも断片的であったり,視点が異なる. 今回我々は,主に,軌道傾斜角=45deg,離心率=0.099,近地点引数=270deg,及び,地上軌跡の中心を東経135deg(これは昇交点経度=146.5degに相当する)とする軌道が受ける摂動を解析し,その特性を評価した. 2.では,Zonal項について,2体問題と対比させて述べる.Zonal項は,主として昇交点赤経,近地点引数,平均近点離角,及び昇交点赤経と平均近点離角の変動に起因して昇交点経度に影響を与える. これらZonal項による昇交点赤経,近地点引数,平均近点離角の変動は,永年摂動項としてよく知られている. ここでは,永年摂動項に関しては,軌道長半径の調整により,昇交点経度がほぼ変動しないようにすることができることを示す. 3.では,地上軌跡変動に主要な影響を与えるNon Zonal項についてその影響が経度に依存することを示す. Non Zonal項は地球の経度に関係するものであって,主として軌道長半径に影響を与え,その影響の様子は静止衛星に対するものと似ている. 適切な頻度での東西制御が必要である. 4.では太陽輻射圧の影響,太陽と月の重力の影響を,昇交点赤経ごとに評価した. 5.では研究・考察の検討をまとめて,むすびとした.まとめとしては,次のようになる.すなわち,まず,永年摂動項による昇交点経度の変動は,軌道長半径の調整により,変動しないようにすることができる.地上軌跡の東西方向の変動は,その軌道保持運用間隔Pを半年とすると,その時の軌道長半径の毎回の制御量は15kmであり,昇交点経度の変動は4.5deg以内である.10年間の軌道傾斜角の変動幅は最大で7deg程度であり,QZSSのサービス仕様次第では,その変動幅が許容して放置することもできることを示唆した. 同様に,これもQZSSサービス仕様によるが,仮に初期の昇交点赤経が135deg~270degであれば,近地点引数でさえもその変動幅は20deg以下であるので放置が可能である. なお,離心率の変動は大きいため,軌道保持運用間隔に実施する軌道長半径の毎回の制御と併せて,保持制御されることが望ましいことも分かった.
  • 永尾 陽典, 木部 勢至朗, 清水 隆之, 引地 誠
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 37-45
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    宇宙基地や宇宙往還機などが滞在するLEO では10km/s の速度でデブリが周回し,その数は記録されていないmm オーダーのものまで入れると4,000 万個ともいわれ,更に増え続けていると考えられている.これらの環境のもと宇宙機の構造側で最も考慮すべきとされるデブリは重量1g,速度10km/s とされるが,地上での試験を行うために用いる事ができる2 段式軽ガスガンでは速度は7km/s 程度までがほぼ上限である.一方,10km/s 以上の超高速試験では成型爆薬を用いた方法がある.そこで,著者らは10km/s の速度を安定的に出せる装置を開発したが,さらにプロジェクタイルを速度約7km/s で固体の状態のままで発射できるガスガンと,溶融化した状態となる成型爆薬方式との,それぞれの衝突現象の把握と,両者の差異の有無を確認する事を目的として,7km/s で1g 程度の模擬デブリの発射が可能な成型爆薬方式による射出システムを開発した.この装置の開発によって,ガスガンを用いた実験と成型爆薬方式による実験との関係を得る事が可能となり,5km/sレベルから10km/s レベルまで,固体デブリが衝突した時の構造への影響を正確に把握する事を目的としている.
  • 北川 幸樹, 桜沢 俊明, 湯浅 三郎
    原稿種別: 論文
    専門分野: 原動機・推進
    2007 年6 巻 p. 47-54
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/18
    ジャーナル フリー
    電子付録
    液体酸素(LOX)を用いた酸化剤流旋回型ハイブリッドロケットエンジンでは,インジェクターより上流でLOXを気化する必要がある.筆者らは,LOXを気化する方法の一つとして,再生冷却方式のLOX気化ノズルを提案している.本研究では,推力1500N用のLOX気化ノズルを設計製作し,設計値より低い酸素流量と燃焼室圧条件において独立気化方式と再生冷却方式による気化燃焼実験を行った.独立気化方式の気化実験によって,LOXの気化とノズルの安全性が確認され,数値計算によるLOX気化ノズルの設計が適切であることが分かった.再生冷却方式の気化燃焼実験では,確実な着火と安定した燃焼が得られ,LOX気化ノズルを用いた酸化剤流旋回型ハイブリッドロケットエンジンの自立燃焼に成功した.また,LOXを気化させることで,LOXに直接旋回を与える場合より燃料後退速度やC*効率を向上できた.
  • 大南 香織, 小川 博之
    原稿種別: 技術ノート
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 55-60
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/18
    ジャーナル フリー
    宇宙機における二液式推進系は多くの研究がなされ,また多くの実績を持つ.その燃料としては,ヒドラジンは自然性・燃焼温度が高く熱制御が難しいことから,通常安定なMMH(モノメチルヒドラジン)が適用されてきた.しかしながら,近年,サンプルリターンをミッションとする宇宙機が多くになるにつれ,ターゲット天体へのスラスタによる汚染防止及び高比推力化を鑑み,ヒドラジン(N2H4)とNTO(四酸化二窒素;N2O4)の燃料/酸化剤の組合せの適用が求められるようになった.ヒドラジン-NTOに含まれるN/H/O系の燃焼反応は多くの研究がなされてきたものの,実際にヒドラジン-NTO燃焼モデルは確立されていない.そこで本報告では,ヒドラジン-NTOを用いた二液式スラスタ設計のための反応モデルを構築することを研究目的とし,その一環として,これまで発表された16論文を網羅的に調査し,そこから,ヒドラジン-NTO燃焼に関与するN/H/O系の245の素反応を抽出した.反応機構は各245素反応に対し、素反応及びArrhenius式で表される反応速度定数により表現した.集めた式は今後感度解析を実施することでヒドラジン-NTO系において有効な反応を抽出し,スラスタの燃焼解析に反映させる方針である.
  • 永尾 陽典, 木部 勢至朗, 清水 隆之, 戸上 健治, 引地 誠
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 61-70
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/31
    ジャーナル フリー
    国際宇宙基地の位置する地球低軌道,静止衛星の位置する高軌道,そして常に高度と位置を変える観測衛星などが位置する楕円軌道など,人工衛星が存在するすべての領域においてデブリの存在と発生が確認されている.また運用を終えた衛星自身はデブリと化し,さらに大小のデブリが互いに衝突して新たにデブリを発生させ,その数を増やす可能性も大きくなっている.これらのデブリと人工衛星などとの衝突が起きる懸念は現実のものとなっており,確認された例が報告されている.その他の未確認衛星故障においてもデブリ衝突が主因である可能性は高いと考えられる.宇宙滞在が2週間程度と短期間の米国スペースシャトルでも帰還後の検査によって微小デブリの衝突痕が確認され,その頻度はこの10年間ではそれ以前に比べて2倍以上であることが報告されている.このようにデブリ増加は具体的なデータによって確認されている. これらの環境を背景に,有人国際宇宙基地の与圧部構造では10 km/secで1 gのデブリ衝突に耐えることが求められ,デブリバンパーで構造を保護している.一方,耐デブリ性能の実証には試験が必要となるが,超高速衝突試験ができる設備は限られている.著者らは10 km/sec 以上の速度を安定的に生成することを目的に,成型爆薬(CSCと称す)による超高速加速装置を開発してきた.しかしCSCによって射出される金属ジェットは,固体と溶融体とが混在する状態(固液混相体と称す)の可能性が高いが,実際の宇宙デブリは固体である.したがって,実構造の耐デブリ性能を正確に評価するには,所定の速度と質量を射出できるCSC装置を用いても,固液混相体によるCSCジェットの衝突と固体の衝突による標的板損傷の相違を明確にし,両者の関係を把握することが必要となる. 著者らはすでに固体を射出できる2段式軽ガスガンのプロジェクタイルと固液混相体を射出するCSCジェットの質量と速度とを同じレベルにし,それぞれの両者による標的板損傷を直接比較するため,2段式軽ガスガンのほぼ上限速度である7 km/secかつ1 gのジェットを射出できるCSC装置を開発し報告した.この開発では所定の速度と質量を満たし,安定したジェット生成を実現できた.しかし先端ジェットの約半分の速度で飛翔する後追いジェットが存在することも確認された.この後追いジェットは、先端ジェットの衝突跡にさらに衝突することになり,固体プロジェクタイルが一個当たる損傷と直接比較することができなかった.従って,これを除去することが必須であり新たな技術課題となった. 本研究は,後追いジェットを除去する方式を新たに考案し,実験により有効性を確認するとともに装置の最適化を行って装置を完成した.また引き続きこの装置によって,本研究の最終的な目的である2段式軽ガスガンと同レベルでの質量と速度で高速射出試験を行い,それぞれの装置による損傷を比較し検討した.この過程で2段式軽ガスガンによるプロジェクタイルとCSC装置によるジェットの形状の差異が与える影響についても実験によって確認し,両者の関係を明らかにした.
  • 加藤 博光, 中須賀 真一
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2007 年6 巻 p. 71-80
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/31
    ジャーナル フリー
    We propose a concept of human machine co-learning, in which the system learns the user's intention interactively, and the planner as a user learns the characteristics of the problem based on the solution represented by the system. In this paper, we propose a method to reflect the user's intention on the optimization by providing the interactive user interface connecting between "the design space", which is easier for a user to understand, and "the evaluation space", in which the system executes the optimization. We applied this idea to the NETSAT communication planning problem. NETSAT consists of existent multiple low-earth orbit satellites, and forms an ad hoc network dynamically according to the satellite position at the time when a certain communication is required. The effectiveness of our proposed method is evaluated by using the prototype system of the satellite simulator and interactive planner.
  • 浦山 文隆, 古川 睦久, 小澤 清, 土佐 正弘, 木村 秀夫
    原稿種別: 技術ノート
    専門分野: 材料
    2007 年6 巻 p. 81-86
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/16
    ジャーナル フリー
    宇宙環境下において宇宙機用材料等から放出される分子状汚染物質は宇宙機表面へ付着し,熱制御材の太陽光吸収率の増加や光学系の反射率・透過率の低下を引き起こすことで,ミッションへ悪影響を及ぼすことが知られている.宇宙機表面に対する分子状コンタミネーション付着防止に関する基礎的な知見を得るため,真空中・紫外線照射環境下での光触媒による付着防止実験を行った.コンタミネーションモデル物質として,スクアレン,テトラメチル・テトラフェニル・トリシロキサン,オレアミド,フタル酸ジエチルヘキシルを実験に用いた.また,光触媒には二酸化チタン粒子,二酸化チタンをコーティングした基板を用いた.二酸化チタンには,真空中においてもすべてのモデル物質に対する重量減少効果が観察された.また,二酸化チタンをコーティングした基板については,紫外線照射時間の経過とともに透過率が増加する現象が観察された.
  • 川勝 康弘
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙航行
    2007 年6 巻 p. 87-96
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/07
    ジャーナル フリー
    Analyzed in this paper are Near-Earth Asteroids sample return mission opportunities in early 2010s. The mission sequences supposed are Keplerian orbits connected with impulsive velocity changes including planetary gravity assists. The sequences are constructed by "trajectory parts connecting method", which is exploited by the author. The method enables to construct the possible sequences comprehensively under defined structure and given constraints. At the same time, it enables to assess the dynamical feasibility of the constructed sequences quantitatively by way of the total required velocity increment required to complete the sequences. Over 4000 Near-Earth Asteroids are taken into account as the candidates of the mission targets, and the mission sequences include not only the sample return from a single asteroid, but also the sample return from two asteroids. Lists of the asteroids (or their combinations) which have mission opportunities in early 2010s are provided and some example sequences are shown.
  • 荻 芳郎, 樋口 健, 渡辺 和樹, 渡邊 秋人
    原稿種別: 論文
    専門分野: 構造
    2007 年6 巻 p. 97-103
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    The purpose of this paper is to analyze structural statics and dynamics of a rotating shaft with a thin-walled open cross-section having one symmetrical axis. For the shaft, flexural-torsional coupling must be considered because the centroid axis and the shear-center axis do not always coincide. After deriving the governing equations of motion for a uniform shaft rotating at a constant angular velocity, we propose methods to estimate static deflection and dynamic stability. Numerical calculations for cantilever shafts with and without internal damping indicate that the distance between the centroid and the shear-center contributes to the dynamic instability. Moreover, an application of the methods to an elastically supported model indicates that a spin-axis antenna rod for future scientific satellites under consideration is dynamically stable in the operational spin-rate.
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