胆道癌,膵臓癌は,予後が悪い癌種の代表例である。胆道癌・膵癌は局在部位にもよるが,高頻度で胆道狭窄をきたす。良性疾患でも胆道狭窄をきたすため,胆道狭窄の良悪性の診断は必ずしも容易ではない。胆汁細胞診や胆道擦過細胞診の正診率は高くなく,客観的かつ定量的な補助診断ツールが求められている。本研究では,胆道狭窄で直接胆道造影検査を施行した患者28例を対象とし,胆汁からDNAを抽出し,KRAS遺伝子変異とDNAメチル化を解析し,補助診断に有用であるか明らかにすることを目的とした。遺伝子変異とDNAメチル化は,パイロシーケンスで定量解析した。一定量の胆汁からのDNA収量は,2群間で,有意差を認めなかった。KRAS遺伝子変異は,胆道癌の67%,膵癌の56%,非悪性疾患の10%で検出した。CDKN2A,MINT25,SOX17,miR-34b/c遺伝子のDNAメチル化は,2群間で有意差を認めなかった。一方,BARHL2遺伝子のDNAメチル化は,悪性疾患において,非悪性疾患に比べ有意に高値であった。2群間におけるBARHL2のメチル化レベルの診断能を判定するためにROC解析を行ったところ,AUCは0.95556であり,BARHL2のメチル化レベルの感度は88%,特異度は100%であった。胆汁を用いたBARHL2のメチル化レベルは,胆道狭窄の良悪性の補助診断マーカーとして有用であることが示唆された。