聖マリアンナ医科大学大学院実験動物飼育管理研究施設で系統維持してきたSprague-Dawley (SD) 系ラットのコロニーにおいて四肢短縮を伴う小人症を発現する個体が出現した。本小人症ラットは軟骨内骨化により成長する骨において石灰化不全が認められ,cartilage calcification insufficient (CCI) ラットと命名された。CCIラット成長板におけるFGF18 mRNAの発現は正常ラットに比べ著しく高値であり,一方,Ihh,Osteopontin,Osteocalcin,BAPおよびDMP1 mRNAの発現は著しく低値であった。これらの結果からCCIラットの軟骨内骨化の異常の一因には,成長板でのFGF18の発現亢進によりIhhの発現が抑制されて,これにより石灰化因子であるOsteocalcinやBAPの発現が抑制されて,石灰化不全が生じている可能性が推定された。これらのことから,CCIラットは軟骨無形性症や軟骨低形成症などの四肢短縮型小人症を呈する骨系統疾患研究の有用な疾患モデル動物となることが期待される。また軟骨形成や骨形成には非常に多くの生理活性因子が関わっており,軟骨成長板における軟骨石灰化不全を呈するCCIラットは,軟骨形成や骨形成に関わる因子の解明や,メカニズムの解明に有用な実験動物であると考えられる。