2020 年 48 巻 2 号 p. 49-53
急性膵炎を合併した上腸間膜動脈症候群の1例を経験したので報告する。症例は80歳,男性。腹部膨満感,嘔吐を主訴に救急外来を受診。血液生化学検査で白血球の増加と,総アミラーゼの上昇を認めた。単純CTにおいては十二指腸水平脚が大動脈および上腸間膜動脈により圧排され,食道から胃,十二指腸に液体貯留を認めた。また,膵の腫大はないものの,膵尾部周囲に液体貯留を認め,急性膵炎の所見であった。上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)による急性膵炎と診断し,保存的加療によって軽快退院した。