聖マリアンナ医科大学雑誌
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原著
2ヵ月に1回の集団運動教室が中高齢者の身体機能に与える影響
室井 良太寺脇 史子谷田部 かなか井上 留美子染村 嵩小林 創藤谷 博人
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2021 年 49 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

我々は先行研究にて,2週間に1回のトレーニング指導をする教室に参加した中高齢者の下肢筋力とバランス能力が向上したことを報告した。本研究の目的は,2ヵ月に1回の同様の教室における中高齢者の身体機能の変化を検討することである。
対象は,2010〜2019年に上記2つの教室に順次参加した中高齢者64人(男性28人,女性36人)で平均年齢71.3±3.8歳であった。指導内容は4種類の筋力トレーニングとストレッチで,教室は年6回行った。なお2つの教室共,教室以外の日のトレーニングは,各自週3日程度実施することを指示した。身体機能の評価として,A:CS-30テスト,B:開眼片足起立時間,C:長座体前屈を測定し,1年の経時的な評価を年齢別(60歳代,70歳代),及び男女別に行った。
Aは全体で,26.9±5.4回から30.4±5.3回にて有意な増加がみられ(P<0.001),両年代共に有意に高値を示した(P<0.001, P<0.001)。一方,Bは70歳代全員で92.6±42.7秒から77.2±45.8秒に有意に短縮し(P<0.01),70歳代女性でも同様の変化がみられた(P<0.05)。Cは60歳代全体でのみ有意な増加がみられた(P<0.05)。
2ヵ月に1回のトレーニング指導で,下肢筋力と柔軟性は向上もしくは維持されたが,加齢変化により,この頻度での指導を行ってもバランス能は低下する可能性が示唆された。

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