2025 年 52 巻 4 号 p. 99-110
背景:大学生のメンタルヘルスが問題視されているが,特に高リスクと予測される留学生を対象とした検討は十分されていない。本研究では,留学生のメンタルヘルスの現状と医療アクセス阻害因子を日本人学生との比較で明らかにすることを目的とした。
方法:上智大学の日本人学生および留学生を対象にオンラインアンケートによる横断研究を行った。年齢,性別,日本語能力などの背景に加え,医療アクセスの現状と課題,PHQ-8,GAD-7,AUDIT-C,レジリエンス尺度BRSについて日本人と留学生を比較し,留学生が抱えやすい問題を重回帰分析により検討した。また医療アクセス障害リスクを多変量ロジスティック回帰分析により探索した。
結果:日本人83名,留学生50名の計133名から回答を得た。共変量調整後も留学生は日本人に比べPHQ-8(p=0.005),GAD-7(p<0.001)が高値であった。留学生であることは医療アクセス障害のリスクではなかったが,日本語会話能力の低さ(p=0.037)とレジリエンスの高さ(p=0.047)は有意なリスクであった。メンタルヘルス関連の課題は日本語能力と回答した留学生が68%を占め最多であった。
結論:留学生は日本人学生と比べうつ・不安傾向が有意に多かった。留学生であること自体は医療アクセス障害のリスクではなかったが,日本語会話能力への配慮の必要性が示唆された。