日本口腔科学会雑誌
Online ISSN : 2185-0461
Print ISSN : 0029-0297
ISSN-L : 0029-0297
特別講演1
歯科医療における連携と協働
田口 円裕
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 66 巻 2 号 p. 60

詳細
抄録

高齢化の進展などの社会情勢に対応するため,国では「地域包括ケアシステム」の実現を目指しています。
一方で,歯科疾患構造の変化や治療の高度化に伴い,国民の求める歯科医療サービスも多様化しています。
このような状況の中で,今後の歯科保健医療提供体制の在り方として,医療機関完結型の歯科医療から地域完結型の歯科医療への移行や在宅歯科医療を担う,あるいは多職種との連携ができる,かかりつけ歯科医機能をもった歯科医師の役割が極めて重要になってきます。また,歯科医療の需要に関しては,健常者に対する需要は減少し,高齢者に対する需要そのものが増加し,従来の修復治療や,欠損補綴を中心とした歯の形態回復に主眼をおいた歯科治療から,いくつかの基礎疾患を持つ高齢者や自立度が低下した高齢者に対する口腔機能の回復に主眼をおいた歯科治療へパラダイムシフトするものと考えられます。
歯科医療機関の間での連携や医科歯科連携の観点から言えば,周術期の口腔機能管理については,在院日数の減少等のエビデンスも示されていることから,医科歯科連携とあわせ,病院歯科と歯科診療所との連携も重要です。この他,入院患者に対する栄養サポートチームへの参画や摂食機能等のアプローチ,さらには,医療機関や患者の状態に応じ,時間軸に沿った医療機関間の連携や多職種協働が求められています。このように歯科医療における連携と協働の推進は,周術期口腔機能管理料や栄養サポートチーム加算への歯科医師連携加算といった診療報酬上の評価の面からも図られています。
今回の講演では,今後の歯科医療に求められる診療の在り方や地域等での役割の再構築などについて,連携と協働をキーワードに述べてみたいと思います。

著者関連情報
© 2017 特定非営利活動法人 日本口腔科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top