抄録
2000年噴火の影響が残る三宅島では,回復の遅いスダジイ林に南西諸島からスダジイタマバエが侵入し,堅果が実らなくなっている.繁殖期にスダジイ林を選好し,秋冬の食物としてスダジイの堅果に依存するオーストンヤマガラは,2015年に比較して,2023年,2024年のつがい密度は,まとまったスダジイ林のある2コースでのみ約40%減少し,スダジイタマバエによる食物環境の変化がオーストンヤマガラに影響していることが示唆された.しかし,スダジイに依存しないシジュウカラも同様にまとまったスダジイ林のあるコースで大きく減少しており(50–75%減少),侵入者が間接的な影響を与えている可能性があると考えられた.こうした間接効果も含めたスダジイタマバエによる影響の有無を定量的に示すためには,今後のさらなる調査の必要がある.