水利科学
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一般論文
平成時代の水管理技術
末次 忠司
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2020 年 63 巻 6 号 p. 40-60

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抄録

平成時代は昭和時代ほど経済成長率が高くなく,また少子高齢化など,社会的に活力低下が見られた時代であった。豪雨が顕著となり,豪雨や洪水に頻繁に「異常」が付けられるなど,平成は災害の時代とも呼ばれた。低経済成長下にあって,東日本大震災もあり,防災に関する考え方や施設の計画・設計にも変化の兆しが見られたし,多数の大型治水施設も建設された。携帯やスマホの普及により,情報収集・伝達方法も変化し,アプリによる気象情報収集も一般的となるなど,ソフト対策も転換点を迎えた時代であった。利水は昭和から継続的に進められたが,環境は河川法が改正され,また環境に対する機運の高まりを受けて,様々な事業や対策が打ち出された。しかし,平成中期以降は災害の多発によって,環境施策が防災施策に押されがちな傾向が見られた。本報では,平成時代の治水,利水,環境に関する動向を整理するとともに分析を行い,総括することを目指したものである。

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© 2020 一般社団法人 日本治山治水協会
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