本研究は,2022年8 月豪雨で土砂流出のあった新潟県村上市の周辺地域を対象に,空間分解能の異なる4 種の光学衛星データを用いてNDVI 差分値(ΔNDVI)の計算により土砂流出範囲を広域に抽出し,空間分解能の違いが抽出手法の適用性とその抽出率に及ぼす影響を調べた。Δ NDVI はいずれの衛星データでも中央値と平均値がかなり近かった。Δ NDVI 閾値ケースごとに抽出範囲を比較すると,Δ NDVI 閾値を低く設定するほど抽出範囲が拡大していた。適合率と再現率の関係はy=ax
2+bx+cの二次式で近似でき,両者は閾値が高くなるにつれて適合率も高くなる一方,再現率が低くなるというトレードオフの関係にあった。衛星データ間で二次式の近似曲線を比較すると,適合率・再現率が全体的に高い順にPlanet,Sentinel-2,SPOT,Pleiades となった。空間分解能が細かいPleiades は両者が低水準であり,適合率・再現率は衛星データの空間分解能に比例するとはいえない。F 値が最大となるΔNDVI 閾値は0. 20~0. 25の範囲にあり,中分解能のPlanet やSentinel- 2 が高くなり,抽出の適用性は空間分解能の細かさと比例関係にはなかった。その理由として,今回の対象地域の土砂流出範囲の面積分布が最頻値42m
2,中央値253m
2と比較的中程度の面積サイズが優占していたため,これらの面積に適合する中分解能の衛星データを使用した場合に適合率・再現率が結果的に高くなったと考えられた。そのため,対象とする地域の土砂流出範囲の面積サイズに適合する空間分解能の選択が効果的であることが示唆された。
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