令和2 年7 月豪雨は福岡県の大牟田市民に思ってもみない内水氾濫をもたらした。湛水深は最高約2 m にも及び,救助に際しては自衛隊などのボートが使用された。この氾濫によって死者2 名(三川地区),床上浸水1, 581戸,床下浸水4, 120戸であった。市内の各地点の時間雨量は地域的にかなりの差が見られ,中心市街地の湛水深も大きかった。小論では筆者が多くの内水氾濫の体験者に話を聞き取ったものを報告した。また,その水文学的検討も行った。さらに,筆者自身の外出先などの体験にも触れた。その体験はキッチンでの滲出水,中庭の下水の逆流,駐車場の浸水,中小河川の増水,自宅でのセミの異常な羽化などである。死者2 名の出た三川地区の浸水についてもその地形的背景を述べた。最後に,今回の豪雨災害の原因・教訓・問題点・対策についても触れた。大牟田市令和2 年7 月豪雨災害検討委員会は対策として「流域治水」を提言している。筆者は現状(都市化した流域の土地利用,流域の低下した浸透能)を考慮した,木曽川下流の「輪中地帯」の水害対策を参考にしたものを提案した。
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