膵臓
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原著
当院における切除不能膵癌に対する治療法の検討
片倉 芳樹鈴木 通博朝倉 武士中野 浩大坪 毅人伊東 文生
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2005 年 20 巻 4 号 p. 349-356

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抄録

抗癌治療を施行した切除不能膵癌44例〔化学 (C) 療法29例, 放射線化学 (C+R) 療法12例, 放射線 (R) 療法3例〕において, 各治療法別に治療成績について検討した.
50%生存期間 (MST) はC療法4.5カ月, C+R療法8.1カ月, R療法が4.0カ月であり, 有意差はみられなかったが, C+R療法では, 若干の生存期間の延長傾向が認められた. 各治療法別の奏効率, performance status (PS) 改善率およびCA 19-9値の低下率に有意差は認めなかった.
診断確定後, 初回よりgemcitabine (GEM) を投与した36例中, 単独投与例は27例で, MSTは5.3カ月であった. 奏効率は7.4%, PSの改善は14.8%で, CA 19-9値低下は22.7%であった. 完遂例は38.2%で, 91.2%に骨髄抑制を認め, 1例の死亡例を認めた.
GEMの総投与量および投与回数の増加と予後延長との間に有意な相関を認め, GEM単独投与例においては, 1回投与量を減量してでも継続投与することが有効と考えられた.

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© 2005 日本膵臓学会
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