近年の膵癌術後補助療法の標準的治療は,ゲムシタビン(GEM)を中心に行われてきているが,2006年8月にテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)が保険認可され,今後標準的治療も変わる可能性があり,エビデンスの集積が必要である.一方,癌化学療法において,どの抗癌剤がどれ程有効であるかを予測できるかどうか,ということも重要である.GEMの代謝に関与する遺伝子の研究も進められているが,フルオロウラシル(5-FU)の感受性遺伝子はすでに解明されており,膵癌において,我々のretrospective studyではTS(thymidylate synthase)+DPD(dihydropyrimidine dehydrogenase)-の膵癌患者に術直後より門脈内に5-FUを3週間持続注入した場合,GEM単独療法より生存率がよくなった.この結果から効果予測できる症例にTS-1を使えば,GEMより予後は期待できる可能性がある.