膵臓
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特集:自己免疫性膵炎 最前線
自己免疫性膵炎臨床診断基準2006の解説―3.血清学的診断―
川 茂幸浜野 英明
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2007 年 22 巻 6 号 p. 641-645

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抄録

「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」に血清IgG4が血清学的診断項目として採用された.IgG4の本疾患に対する感度は80%程度,膵癌を対象とした特異度は98%と非常に高い.しかし,IgG4陽性膵癌例も存在し疾患特異的ではない.IgGは感度70%,特異度75%であった.非特異的自己抗体,抗核抗体,リューマチ因子の陽性率はそれぞれ60%,20%∼30%程度であるが,疾患特異的自己抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体,抗ミトコンドリア抗体はほとんど陽性となることはなかった.各血清マーカーの同一検体による比較検討ではIgG4の診断能が最も優れていた.抗核抗体,リューマチ因子を追加測定することにより診断能はさらに向上したが,IgGを追加しても向上を認めなかった.しかしIgG4が保険適応されていない現状ではIgGが測定される機会が多く,抗核抗体,リューマチ因子を追加測定することが現実的と考えられる.

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© 2007 日本膵臓学会
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