抄録
膵頭部癌では門脈(PV),膵後方浸潤(RP),動脈(A)への癌浸潤が重要な予後因子となり,正確に診断することが生命予後の改善に繋がると考える.我々はcurved planar reformation(CPR)画像を作成し,従来のMPR画像との有用性を比較検討した.対象は膵頭部癌症例のうち術前のMDCT画像と,病理所見を比較し得た7例である.7例中,4例はMPR,CPR画像がともにPV,RP,Aの3因子が全て病理所見と合致し,2例は,MPR画像のみが3因子全て病理所見と合致した.1例は,CPR画像のみが3因子全て病理所見と合致した.RP因子の正診率はMPR画像85.7%に対しCPR画像72.1%であった.CPR画像は膵管主体の断面であり,膵内外癌浸潤の診断に有用であるが,周囲の画像には歪みが生じるため単独での進展度診断は困難である.CPR画像とMPR画像の併用が進展度診断に有用である.