膵臓
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特集:膵臓癌におけるトランスレーショナルリサーチの展望
分子発現解析に基づく膵癌診断法とその意義
大内田 研宙大塚 隆生水元 一博田中 雅夫
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2010 年 25 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

膵癌患者の予後改善にはできるだけ早い時期に膵癌を検出するための新たな早期診断法の確立が必要である.また,腫瘤形成性膵炎などとの鑑別診断やIPMNなど悪性度診断に難渋する症例も少なくない.我々は,これまで膵癌診断能の向上を目指し,膵発癌過程における詳細な癌関連分子の発現変動を検討してきた.具体的には,膵癌の前癌病変である各異型度のPanIN細胞やIPMN細胞,さらに浸潤性膵管癌細胞,正常膵管細胞を凍結切片からレーザーマイクロダイセクション法により選択的に単離し,定量的real-time RT-PCR法を用いてS100 familyやMUC familyなどの膵癌関連分子のmRNA発現解析を行ってきた.また術前にERPにより採取した膵液の解析を行い,各分子の術前診断における意義を検討した.本稿では,これまでの我々の取り組みについて概説し,今後の膵癌診断の展望について述べる.

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© 2010 日本膵臓学会
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