膵臓
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症例報告
2年の短期間で出現進展し,肝転移を来たし十二指腸壁内穿破した膵管内乳頭粘液性腫瘍由来浸潤癌の1例
谷岡 洋亮長谷井 舞子佐藤 恭子白髭 明典清水 慎一岸本 卓巳大村 奏之田口 孝爾越智 浩二
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2011 年 26 巻 5 号 p. 604-612

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抄録

症例は59歳男性.既往歴として2年前に十二指腸潰瘍穿孔に対し保存的加療を受け,その際の腹部CTでは膵に異常は認めなかった.腹部不快感,嘔吐を主訴に来院し,画像検査にて膵頭部腫瘤を認め入院となった.腹部CT検査では,膵頭部背側に周囲に多数の嚢胞性腫瘤を伴う充実性腫瘤を認め,膵頭部は腹側に圧排されていた.また,十二指腸下行脚から水平脚背側の十二指腸壁内に嚢胞性腫瘤を認めた.以上より,膵頭部嚢胞性腫瘍とそれに伴う十二指腸壁内穿破と診断した.幽門輪温存膵頭十二指腸切除および肝臓に充実性腫瘤を認めたため肝S5部分切除を施行した.病理診断は,膵管内乳頭粘液性腺癌,肝転移および十二指腸粘膜内穿破であった.2年という短期間で出現進展し,肝転移を来たし十二指腸壁内穿破した膵管内乳頭粘液性腫瘍由来浸潤癌の1例を経験したので報告する.

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© 2011 日本膵臓学会
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