2016 年 31 巻 6 号 p. 833-840
症例は43歳男性.胆石性の重症急性膵炎の診断で近医緊急入院.内科的治療を行うも,膵周囲のfluid collectionが増大したため当院搬送.壊死性膵炎の感染性acute necrotic collectionの診断でCTガイド下ドレナージ施行.ERPでは膵管は膵頭部で途絶しており,体部主膵管断裂に伴う膵液漏と診断.ドレナージにより膿瘍腔は縮小したが再発する膿瘍腔に対し内視鏡的に胃・膿瘍ドレナージを施行.膿瘍腔の消失を認めたが,膵体尾部の持続炎症と体部主膵管拡張を認め,頭体部膵管途絶に伴うdisconnected pancreatic duct syndromeと診断.膵頭部実質は脱落しており,膵機能は体尾部に依存していた.HbA1cも悪化し始め,いずれ膵萎縮を来たし糖尿病を発症することが懸念され,残膵機能温存目的に膵管空腸側々吻合を施行した.術後経過は良好で,HbA1cも改善している.