膵臓
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特集 膵癌の早期診断最前線
1.膵癌早期診断の現状
―膵癌早期診断研究会における多施設研究の結果をもとに―
菅野 敦正宗 淳花田 敬士真口 宏介清水 泰博植木 敏晴長谷部 修大塚 隆生中村 雅史竹中 完北野 雅之菊山 正隆蒲田 敏文吉田 浩司佐々木 民人芹川 正浩古川 徹柳澤 昭夫下瀬川 徹
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2017 年 32 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

膵癌早期診断研究会が主導して行った,早期診断された膵癌の実態調査について報告する.40例のStage 0膵癌と119例のStage I膵癌が集積された.膵癌全体に占めるStage 0膵癌とStage I膵癌の割合は約2%であり,Stage 0膵癌は0.6%であった.症状を認めたために医療機関を受診した症例は38例(23.9%)と少なかったのに対して,検診にて異常を指摘され受診した症例は27例(17.0%),他疾患の経過観察中に異常を指摘された症例は85例(53.5%)と無症状で医療機関を受診した症例が多かった.検診にて異常を指摘された27例中,膵管拡張を指摘された症例が19例と画像における副所見の指摘から精査を行った症例が多かった.術前の病理診断では,超音波内視鏡下穿刺吸引法を用いた症例(30.8%)と比較して,内視鏡的逆行性胆管膵管造影下にて病理検体を採取した症例(77.8%)が多かった.予後は良好であったが,14.5%の症例で術後の残膵に膵癌が新たに発生した.今回の調査が,膵癌の早期発見ならびに予後改善に寄与をすることが期待される.

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© 2017 日本膵臓学会
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