膵臓
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特集 膵腫瘍におけるゲノム解析―病態解明と臨床的意義
膵癌における次世代シーケンサーを用いた血中循環腫瘍DNA検出系―臨床応用の可能性について
大川 和良高田 良司片山 和宏久木田 洋児加藤 菊也
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2018 年 33 巻 6 号 p. 937-943

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抄録

最近,血中循環腫瘍DNAの検出が可能となり,新しい癌のバイオマーカーとして注目されている.我々は次世代シーケンサーを用いた膵癌における血中循環腫瘍DNA検出系の構築を試みた.膵癌において高頻度に変異が認められるKRASTP53SMAD4CDKN2Aを含む計8遺伝子を対象として,PCR増幅の後にシーケンシングを行った.この際にバーコードタグを用いて効率よく読み取りエラーを除去する非重複統合リード塩基配列決定システムと,癌細胞由来でない変異DNAを除外するCV78フィルター法を併用することで,より精度の高い膵癌特異的変異DNAの検出が可能であった.この系を用いて膵癌症例の約35%から膵癌特異的変異DNAが検出され,変異DNAが検出された症例ではされなかった症例よりも疾患がより進行している傾向が認められた.今後,我々の膵癌特異的変異DNAの検出系の膵癌診療へのより効果的な応用を検討したい.

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© 2018 日本膵臓学会
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