2021 年 36 巻 4 号 p. 245-250
『膵癌診療ガイドライン2019』と『NCCNガイドライン(膵癌)2021年 第2版』との間には作成方法や推奨内容を含めて様々な相違がある.ガイドラインを作成する際に採用されているエビデンス(科学的根拠)はかなりの部分が共通である一方,医療保険上の政策や制度をはじめとする医療を取り巻く環境の違いや,エビデンスのもととなる臨床試験がどこで実施されたかによって,エビデンスの解釈に強弱が生まれ,これらが両ガイドラインに相違が生じる一因になっていると考えられた.我々はそれぞれの環境下において最も推奨される医療の検討が必要であり,各国の状況に応じたガイドライン作成は今後も重要と考えられた.