日本海水学会誌
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積層構造の多重効用海水蒸発濃縮器の性能予測
─自然対流蒸発による上面冷却の傾斜濃縮器─
野底 武浩儀間 悟水口 尚松田 昇一
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2012 年 66 巻 4 号 p. 221-228

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抄録

積層構造の多重効用海水蒸発濃縮器について,一次元定常モデルを構築し解析した.濃縮器は傾斜させて設置され,その下面は加熱,上面が自然対流蒸発により冷却される.解析結果より次の知見が得られた.①総蒸発量は,効用数5程度で最大値を取った後,効用数の増加に伴い徐々に減少するが,一方,蒸発倍率(入力熱量に対する全蒸発に要する熱量の比)は初め急に増加した後飽和の傾向を示す.②強制対流付加による上面の蒸発冷却の促進は,総蒸発量に比較的小さい増加を生じるが,蒸発倍率にはほとんど影響を与えない.③供給前の海水予熱は,蒸発倍率を著しく改善するが,一方,総蒸発量の増加は限定的であり,効用数が多い場合には逆に減少する.④濃縮倍率の増加に伴い,蒸発倍率は初め増加するが,後にその増加は緩慢になる.一方,総蒸発量は低下する.⑤濃縮器下面の加熱温度を低下させると,蒸発倍率は大きく改善するが,総蒸発量の著しい低下を招く.⑥上述した海水予熱と濃縮倍率の増加および加熱温度の低下は,濃縮器内で海水の温度上昇のために消費される熱量を減少させて,蒸発倍率を向上させる.

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© 2012 日本海水学会
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