色の識別能力が高いとされるヒラメを対象に,異なる背景色のもと様々な色の擬餌に対する食いつき度を評価することで,同魚の餌選択性が餌の色相か,背景色と対象物のコントラストの強さの何れに負うところが大きいのか,他に関わる視覚的因子が存在するのかを調べた.結果,背景色の有無や色を問わず黒色の擬餌に対して採餌行動を行う回数が最も多い傾向となった.黒色の擬餌は黒色以外の背景色に対して最もコントラスト比が高くなったこと,背景色と同色の擬餌の場合および特に透明の擬餌に対しては採餌行動を行う回数は少なかったことから,ヒラメはコントラスト比の高い餌を選択して採餌行動をとっていた可能性は高い.ただし,ヒラメは背景色とコントラスト比の高い疑餌を常に選択的に採餌している訳ではなく,特定の背景色においては緑色や赤色の餌を好んで選択していることが分かった.なお,透明および黄色や白色の擬餌はどの背景色下でも採餌行動回数は少なく,明色系の対象物に対しては警戒色を呈するものとして積極的な摂餌を行うことはないという行動規範が備わっている可能性も示唆された.
本研究では,結晶懸濁濃度を35 %まで大きくすることで高効率化を目指した半回分式塩化ナトリウム蒸発晶析プロセスを対象に,結晶粒径分布を予測するためのポピュレーションバランスモデル(PBM)の速度定数の推算方法について検討した.加熱速度,種晶の質量,粒径を含む様々な操作条件に適用可能な速度定数推定法を開発することを目的とした.結晶成長速度,二次核発生速度,凝集速度モデルは,それぞれMersmann の2 段階モデル,べき乗則,Mumtaz のモデルを採用した.速度パラメータは,結晶の質量及び粒径分布の経時変化のモデル実験データに基づいて推算した.晶析条件ごとの二次核発生と凝集の優位性を評価するために最適操作条件指標Iop, 2を導入し,Iop, 2 < 1 は過剰な二次核発生を,Iop, 2 > 1 は過剰な結晶凝集を示す.その結果,成長及び二次核発生の速度パラメータはIop, 2 < 1 のときに効果的に推定され,凝集の速度パラメータはIop, 2 > 1 のときに最もよく推定された.すべての操作条件におけるPBM 解析の結果,全体の誤差は11 %であった.特に,Iop, 2 > 1(凝集が支配的な条件)で単峰性の粒径分布であるときに,より小さな誤差となる傾向であることがわかった.
塩と有機酸による相互作用を利用した味の増強について,リンゴ酸を添加した食塩水を対象に検討を行った. 0.234 %および0.584 %の食塩水においては,リンゴ酸認知閾値添加で塩味の増強が認められた.一方,0.8 %および1.5 %の食塩水においてはリンゴ酸認知閾値濃度の添加では味の増強は認められず,0.8 %では0.002 %,1.5 %では0.003 %の添加で初めて味の増強効果が表れた.これらの濃度では,口に含んだ際に酸味はわずかにしか感じられず,塩味の強さを主に感じていた.リンゴ酸の添加量をさらに増やすことで,より味が強く感じられるようになるが,一方で酸味が強すぎると不快であると感じられるようになり,塩濃度とリンゴ酸濃度の比率が重要であることが分かった.